

ナブコドアの仕事
PROJECT
STORY
プロジェクトストーリー
ナブコドア史上
最大級のプロジェクト
国立循環器病研究センター
2019年7月にJR岸辺駅北側へ新築移転した、国立循環器病研究センター。
ひとつの現場で268台という、大規模プロジェクトを無事にゴールまで導いたナブコドアの社員たち。
彼らの声を拾い上げながら、そのプロジェクトの全貌を追う。
MEMBER


高橋 一成
2002年入社
新規営業
中途入社後、大阪支店に配属。東大阪営業所を経て、2013年に北大阪営業所へ。この国立循環器病研究センターをはじめ大型案件を複数担当。その後、大阪支店を経て、現在は神戸支店尼崎営業所に勤務。
山本 竜二
2013年入社
設計
新入社員として入社後、大阪支店技術課に配属。大小様々な案件の設計図面作図を担当し、キャリア5年目となる年に、この国立循環器病研究センターを担当。2020年に名古屋支店技術課に異動。
江崎 健太郎
2014年入社
工務
2014年12月に通年採用で大阪支店技術部工務課へ配属され、本案件をはじめ、製薬工場、ランドマークビル等の現場管理を経験し、2024年4月からは四国支店で勤務。
中島 英里
2017年入社
保守営業
入社後、神戸支店保守サービス第2課に配属。弊社製品の納入先へのアフターサービス提案、修繕対応などを行う。
2023年に北大阪営業所へ異動後、本案件の保守営業担当に。

STORY 01

トップシェアのプライドを賭けて
勝ち獲った受注
循環器病を対象とする国立高度専門医療研究センター(ナショナルセンター)として、1977年に吹田市藤白台に設立された国立研究開発法人国立循環器病研究センター。
循環器病に関する診断・治療、調査・研究および専門医療従事者の研修・育成を担う循環器を専門とする日本最高峰の医療機関・医学研究機関である。病院は特定機能病院に位置づけられており、大学付属病院と防衛医科大学校付属病院以外で特定機能病院として認められているのは、国立循環器病研究センター以外では5件しかない。日本国内だけでなく海外からの患者も訪れる、文字通り日本を代表する病院だ。
2019年7月にJR岸辺駅北側(吹田市岸部新町)へ新築移転したこの国立循環器病研究センターの自動ドア、268台すべてを納入したのがナブコドアである。ナブコドア社内で、このプロジェクトが始動したのは2016年初旬頃。
中心となったのは、当時北大阪営業所に所属していた高橋である。
「医療機関としては国内トップクラスですから、弊社としても自動ドアのトップシェアを誇る企業としてのプライドと意地を賭けて、何としても受注しなくてはという空気が社内にはありました」と、高橋は振り返る。

当然、競合他社との戦いは非常に厳しかったものの、1年近い時間をかけ何とか受注に漕ぎ着けた。
最終的には金額だけではなく、ブランドの信頼度や施工技術の高さ、さらには竣工後のアフターサービスに対する安心感など、ナブコドアの総合力が評価され受注につながった。


STORY 02

268台という
前代未聞のボリュームに立ち向かう
268台という前代未聞の規模は、業界内でも5年に一度あるかないかという超大型案件である。
「受注が決まった時は、獲得できてよかったという安心感もありましたが、それ以上に不安の方が大きかったです」と語る高橋。
高橋の懸念は設置台数の多さだけではなく、医療施設という特殊性にもあった。一般的な商業施設などであれば、たとえ設置台数が多くてもほとんどが同じ仕様の自動ドアで対応できる。しかし、医療機関は設置箇所によって仕様が全て異なると言っても過言ではない。さらに、通常の開閉動作だけではない特殊な仕様も要望に応じて必要になる。
「わかりやすい例として手術室を挙げると、センサー式のフットスイッチで開けると扉が1500mm開き、手かざし式のセンサーで開けると900mm開くように設定されています。ストレッチャーを通すときは広く、医師の入室時はなるべく短時間の開放に留めるために狭く開けるようになっているんです」と、このプロジェクトの設計を担当した山本は説明する。

そういった設置箇所ごとの使用用途やお客様の要望・意向を、一つひとつ高橋がゼネコン経由で聞き出し、山本がそれに対応する仕様で図面に落とし込んでいく。自動ドアと言っても、一般的なドア上にセンサーが設置されるものばかりではなく、カードリーダーや静脈認証装置が必要なものもあれば、開閉速度やタイミングも設置箇所によって異なる。
また、施設規模が大きいため、火災時に火報信号と連動して動作する設定も必要だ。そういった、ほぼすべて仕様が異なる268台の図面を、山本を含め2名で約9か月間かけて仕上げたという。

STORY 03

この現場を成功に導いた「2つのカギ」
圧倒的なボリュームに対して、工期はかなり厳しい。並行して作業が進んでいる他の現場も、もちろんある。それを止めるわけにはいかない。協力会社1社で対応可能な物量ではないことが明らかだったため、高橋はスタート時から3社の協力会社によるJV体制を敷いた。
一番初めに高橋がやったのは、人と人のパイプを作ることだった。施工管理担当である江崎を、ゼネコン担当者やサッシ業者、その他業者の施工管理担当者と引き合わせ、ダイレクトに連携が取れるホットラインをつくったのである。自動ドアの設置工事は、建設全体のプロセスの中ではスポット業者という扱いになる。そのため、工程自体がどうしても後回しになりがちなため、他の工事の進捗状況を常に把握しておく必要がある。高橋が、現場担当者間のパイプをつないだことによって、そういった情報の共有が非常にスムーズになった。これが、この現場の成功のカギの一つになったのは間違いないと言える。

さらにもうひとつの成功のカギとなったのは、以前から高橋が自作して現場の施工管理に使っていたExcelのシートだった。この手法を江崎に引き継ぎ、268台すべてをExcelのシートで管理し、一台ごとの進捗状況をすべて可視化して共有した。「このシートがあったおかげで、268台という膨大な量でも、混乱したりミスを起こしたりすることもなく、的確に施工を進めることができました」と江崎は述懐する。
それでも、実際に現場に行ってみると、建設図面と寸法が異なっていたり、スイッチを取り付けるためのスペースがなかったり、天井内にエアコンのダクトが通っていてメンテナンススペースが取れなかったりと、予期せぬさまざまなトラブルは日常茶飯事だったという。


STORY 04

関わった全員の「本気」が
つくりあげた奇跡の現場
「ほぼ毎朝、もう一名の施工管理の人間と手分けして、現場を端から端まで見て歩きました。広大な現場の為スマホの歩数計が、毎日すごい数字でした」と笑いながら振り返る江崎。工事中の現場は毎日のように状況が変化する。それを日々チェックし、自動ドアの設置が遅れそうな箇所に関しては現場監督にその旨を報告し、逆に前倒しできそうなところは施工の手配を進める。
こうして、着実に施工は進み、誰もが経験したことのない268台という大規模の現場は無事に工事を納めることができた。驚くことに、施工の遅れはまったくなく、工事期間中の大きなトラブルも皆無だったという。このプロジェクトに関わった全員が、「あんなに大きな現場だったのに、不思議なぐらい、それほど苦労したという実感はない」と口を揃えて言う。「でも、工期遅れや、事故・トラブルがないというのは、あたりまえのことなんですよね」そう語る高橋の表情は、少し誇らしげに見えた。
現在、この現場の保守サービスを担当しているのは、北大阪営業所所属の中島。「つい最近、自動ドアから異音がすると問い合わせがあり、吊り下げの調整などを行いました。多くの方が利用する病院という施設なので可能な限り早く対応するようにしています」と、彼女は語る。彼女自身が初めて現場へ訪問した際にはその施設の大きさに驚き、それと同時に今後対応すべき自動ドア箇所や機械装置の取り換えの推奨時期について明確に管理をすべきだということを再認識したという。どこの扉であろうが何の支障もなく動くことがあたりまえとされる自動ドア。お客様との連携を密に取りながら、ここからは中島を筆頭に自動ドアに求められる「安心・安全・快適」を実現させていく必要があるだろう。

受注段階から施工期間中、そして施工完了後も、そこに関わる全員が胸に刻み込んでいるのは、ナブコドアというブランドに対する信頼を裏切ってはいけないという熱い思いである。
そういった思いを抱く人々の「本気」こそが、この268台という途方もない規模の現場を「あたりまえ」のように成功させたのだろう。
※JV体制とは
資金力•技術力•労働力などから見て、一社では請け負うことができない大規模な工事•事業を複数の会社が協力して請け負う事業組織体を指す。

